要旨
今、ギニア、シエラレオネ、リベリアの3国でエボラ出血熱が猛威を振るっている。エボラウイルスは極めて致死性が高いため、厳重に防護して治療・看護に当たっていることも報道されている。今回流行しているザイール型エボラウイルスは、通常、潜伏期は2週間程度で、重症のインフルエンザのような状態になり、最終的には血管や血液機構が破たんし、大変ミゼラブルな症状で亡くなっていく。また、死亡前後の体や体液に触れると感染の可能性が高くなる。
日本や欧米では、標準予防策が義務づけられている。患者に接触するときにはゴム手袋を使い、1回ごとに捨てる。そして、触れるた度にアルコールを含んだ殺菌能力のある薬品で手指を消毒することを徹底して行っている。しかし今回、流行地域では手袋なしでの治療が行われていたらしい。それが感染拡大の原因の一つではないか。
現在、エボラ熱ワクチンが開発されている。エボラ熱のように急激に重症化するものであっても、わずかでも自然に治ってしまう人がいる病気には、ワクチンが有効だ。残念ながら日本でも発症する方がいるかもしれないが、空港や飛行機、電車で簡単にうつる病気ではないし、日本の病院は標準予防策を採っているから、過度に不安に思うことはない。
収録日:2014年11月7日 公開日:2015年1月12日