要旨
手術ロボット「ダヴィンチ」の日本における導入台数は170台と米国1500台の約10分の1規模。今後国内に300台前後が導入されていくだろう。
課題は医療費だ。日本で保険診療となるダヴィンチ手術は前立腺がんのみだが、本来ほぼ全ての領域で可能であり、海外では通常の開腹手術と同等の費用でダヴィンチが可能。海外との医療費環境の差が大きい。
実は日本はダヴィンチのみならず輸入医療機器の価格が海外の約2〜3倍と高い。説明書の日本語翻訳、医療機器販売会社のサポート従事者の人件費等、流通にまつわるサービスコストが高い販売価格の要因となっている。
また集約性の低さ、効率の悪さも日本の医療の特徴。集約性と高効率化が進む韓国やアメリカとは状況が異なり、良くも悪くも、多数の小規模な病院で小規模な病院経営が行われている。海外との効率性の違いも医療費の差の一因だろう。
次に、国が保健診療の承認に慎重で、海外に比べて数年の後れが出ている問題がある。日本独自のエビデンスを要求されることが原因であり、世界標準を積極的に認めていく変化が望まれる。
最後に、現在のダヴィンチ最大の問題点は、混合診療が認められないことだ。ダヴィンチ手術を伴うことでその他の一切の検査等も保険適用外となるのはいかがなものか。世界的に普及する医療の進歩を日本の患者がどう享受できる仕組みを作っていく、考えていく必要がある。
収録日:2014年5月2日 公開日:2014年7月31日