10MTV:ロボット手術が拓く外科イノベーション「ダヴィンチ」

要旨

人類史における外科のイノベーションは、常に、正確性、安全性、技術伝承性の3点が重視されてきた。アメリカで開発され、日本でも導入が進む内視鏡手術ロボット「ダヴィンチ」は、その全てを実現するイノベーティブな先端医療機器である。日本でも2012年から前立腺がん手術が保健収載に承認され、現在導入数は170台。アメリカに次ぐ世界第2位の普及国となっている。

ダヴィンチの最大の特徴は、拡大した視野による正確で安全な手術だ。前立腺がんにおいいても機能を損ないにくい高精度の治療が可能で、大量出血や合併症の確率が極めて低い。順天堂医院でも過去輸血事例は皆無だ。またこれまで10年、20年かかっていた技術習得が約1年〜1年半で可能となり、外科手術の質の向上に果たす役割は大きい。不足が案じられるのは触覚だが、3Dプリンターによる実物大模型でこれを補完。患者との共有にも有益である。また、独自開発のシュミレーションソフトウェアによるナビゲーション映像等さまざまな医療情報を一つのモニターの中に集約し、コックピット化する機能を有する。患者受益の極めて大きいダヴィンチの優れた特徴と言える。

収録日:2014年5月2日 公開日:2014年7月31日

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