順天堂泌尿器科・女性医師インタビュー

女性の外科医・研究職は大変と思っていませんか。順天堂大学泌尿器科では結婚・育児などのライフイベントを経つつも活躍する女性医師がいます。そんな女性医師から泌尿器科の良さや結婚・育児などについての本音をインタビューしました。

泌尿器科の魅力ってなんですか?

高澤:
内科的なことと外科的なことを両方あり、全身が診れます。泌尿器科は一般的に男性の診療科というイメージがありますが、女性の患者さんも多く女医さんに診て欲しいというニーズがあります。

河野:
高澤先生も言っているように泌尿器科は多様性があります。内科的・外科的、小児からお年寄り、男性も女性も診る診療科というのはなかなかないと思います。

順天堂大学泌尿器科は女性の医師がいるというのは、有名なんですか?

高澤:
患者さんがWebサイトを見て女医がいるどうかを調べてくる事はありますね。やはり、同性の医師に診てもらいたいということなのでしょう。

河野:
そうですね。東京では泌尿器科の女医は珍しくはないですが、近県では泌尿器の女医がいない地域もあり、このようなところにお住まいの人などもわざわざ順天堂までいらっしゃいますね。

なぜ、女性なのに泌尿器科を選んだのですか?

高澤:
女性の患者さんが困っていて、女医のニーズがあることですね。例えば、尿失禁や骨盤臓器脱などの女性特有の病気もありますし、他の癌疾患だって女性患者もたくさんいます。膀胱鏡をやるとき、女医だったら少しは恥ずかしさなんかも軽減するのではないかと。ただ、順天堂の場合、上の世代には女性が全くいなかったので非常に悩みました。他の大学の女医がいる泌尿器に見学に行ったこともあります。悩みましたが、同期に泌尿器科志望の女性がいたことは大きな後押しになりました。

河野:
私はがん治療に興味があって、がんの診断・手術・化学療法から最終的には看取りに至るまで全てを担う科として泌尿器科を候補にしました。婦人科もがん治療の全行程を診る事ができると思いますが、診るのは女性だけになってしまうので迷っていたんです。私の場合も同期の高澤先生が泌尿器科志望との事で踏ん切りがつきました。
他にも泌尿器科の先生たちが歓迎ムードだったことも理由の1つですね。

泌尿器科を選んだきっかけは?

高澤:
研修で泌尿器科を回るまで泌尿器科は全然考えていなかったのですが、回ってみたら結構面白いところだな、と。
外科方面を志向していたので、ぼんやりと婦人科を考えていたんです。泌尿器科も婦人科と関わる部分があるので、婦人科・麻酔科・泌尿器科を回って、泌尿器科の面白さにハマった感じですね。手術にも興味があったし。さっきも言いましたが、失禁や骨盤臓器脱などの女性特有の病気もありますし、他の癌疾患だって女性患者もたくさんいます。膀胱鏡をやるとき、女医だったら少しは恥ずかしさなんかも軽減するのではないかと。

河野:
泌尿器科には学生時代の勉強でマイナーなイメージを植え付けられましたが、実は全ての科に関わる診療科として面白いと思うようになったのです。
最終的にはどこの科に入るにしても、一度は回ってみて損はないと思いますよ。

手術などの体力的な部分などで男性と比べられたりしませんでしたか?

高澤:
男性だから女性だから、という理由で何かを比べられたことはなかったですね。

河野:
男女の区別なく手術を担当させてもらえますが、X線をあつかう手術は、希望すれば可能な限り免除していただけました。

お子さんはいらっしゃいますか?

高澤・河野:
はい、います。

では、仕事と子育ての両立している1日のスケジュールを教えてください。

高澤:
私はいま大学院生ですので、病棟担当のころよりは時間の融通がききます。5時ぐらいに起きて、洗濯物などの家事をしながら、1時間ぐらい自分の時間を持ちます。その後、朝食の準備や子供を起こし、出かける用意をします。8時過ぎに保育園に子供を連れて行き、夕方にはお迎えにいきます。
夕方帰ってきてからは子供が寝るまでは全く手があかないですね。夕方から夜には時間を作れないので、朝の1時間を自分の時間にあてています。

河野:
私は外来診療と研究が主な仕事です。朝は早くから子供を預けて、カンファレンスにも出席しています。勉強の時間は子供が寝てからの夜に取っています。大変といえば大変ですが、充実した日々を送っています。

入局してから辛かった事は?

河野:
辛くて困った事はないです。

高澤:
診断について悩む事はありましたけど、これは医師であればどこの科にいても悩む事ですよね。
泌尿器科だからという事はなかったですね。

最後に泌尿器科への入局を考えている女性医師に向けてひとことお願いします。

高澤:
最近、全国的にみても泌尿器科を選択する女医さんが増えつつあります。私たちが入局した10年前と比べて学会に行っても女性が多くなったと実感しています。また、家庭を持つ女性泌尿器科医も多いです。今年度の泌尿器科学会では託児所を申し込もうとしたら、すでに満員でした。それだけこの分野に魅力を感じている女性が多く子育てをしながらも続けている人が多いということですよね。

河野:
順天堂大学でも年々、女性研究者・女性医師へのサポートを充実させてきていますので、期待していきたいですね。
男女に関係ないですが、専門性を高めて必要と思われる人材になることが大事だと思います。

高澤:
泌尿器科はあまり大きな科ではありませんが、先輩にも相談しやすくととても雰囲気のよいコミュニケーションがとりやすい科だと思います。やっていることも最先端のことをどんどん取り入れていってますし、とても面白いですよ。